2020年12月22日
判決確定を受けての
学校法人京都朝鮮学園コメント
関係各位
学校法人京都朝鮮学園
理事長 趙 明 浩
去る12月14日、学校法人京都朝鮮学園に対して行われた名誉毀損事件について、最高裁上告棄却により、加害者(被告人)に罰金50万円の有罪判決が確定しました。
今回の事件は、当法人の運営する京都の朝鮮学校を標的としており、先行する2009年の行為に対する実刑判決により、刑務所に服役した同一の被告人が、前回と同じ場所、同じ表現で殊更に前件との連続性を強調しながら、再び名誉毀損行為の再犯行為に及んだ、という許しがたい事件です。人種差別を許さないとした2009年事件の司法判断を覆そうとするかのような挑戦的かつ挑発的な姿勢、また被告人の過去の活動を正当化する意図がありありと表現され、学校関係者や児童・生徒らが抱いた当時の不安を再燃させかねないものでした。
しかし、京都裁判所が被告人に対して下した判決は、50万円という罰金刑に留め、しかも、判決理由において、今回の名誉毀損行為が「公益目的」によるものであったなどとする信じがたいものでした。さらに、京都地検が控訴せず、地裁判決内容がそのまま最高裁まで維持されたことに強い憤りを感じています。
日本の刑事司法によるこうした判断や選択は、日本の差別社会の現実を反映しているように感じられ、私たち職員、保護者、児童・生徒たちのなかでは、日本社会に対するある種の絶望感が語られるような現状にありました。
しかし、裁判の過程で、弁護団の方々はもちろん、数多くの市民や法律の専門家が声を上げ、合計3800筆を超える署名と抗議声明への賛同が示されたことにも大変励まされ、裁判関連報道のなかには、差別被害者の声を中心に構成されたものも見られるなど、本件の真相を世間に訴えかけてくださっている内容に、日本社会が少しずつ変化しつつあることへの手応えを感じました。
私たち学園は、こうした市民や心ある専門家たちの声こそが、日本社会の真実の良識であると信じ、児童・生徒たちに希望を棄ててはいけないと伝え続けていくと同時に、70年以上続く歴史ある民族教育を堂々と行っていこうと思います。
今後、同種事件の判決の評価において、市民の良識を反映させ差別行為を厳しく断罪する 運用へと改善されていくことを心より願い、その実現に向けて必要な対処を、司法や立法に 関係する全てのみなさんに要請したいと思います。
以上
(参考: 弁護団コメントのほうも併せてご一読ください)